RPA(ロボティックプロセスオートメーション)は、日常的に、複数の手作業で煩雑なルーチン作業を抱える企業にとっては、もはや新しいものではありません。RPAの導入は、従業員、コスト、リスク、エラーの削減から、効率性を高め、迅速に収益を向上させるまで、さまざまな利点があります。

 

 

Ernst & Young(EY)の調査によると、RPAはグローバルで広く採用されているにもかかわらず、初期プロジェクトの30%~50%が失敗していることがわかりました。その理由の多くは、自動化への準備が不十分なためです。(Bhatt、2019)

RPAの導入を成功に導くための十分な計画を立てるためには、企業はRPA導入にかかるプロセスについて、十分に理解することが不可欠です。(詳細 FPTコラム:ビジネスを成功へと導くRPA

 

アセスメント

多くの企業は、組織のニーズと準備状況を総合的に評価することなく、RPAの導入を急いで開始することにより、余計なコストがかかるというミスを犯しています。RPA導入の目標と目的が企業の戦略と一致していることを確認するために、まず検討すべき事項は、インフラ、従業員、IT戦略ロードマップ、および事業運営計画です。また、どのRPAツールが、既存ITシステムと互換性があるかを評価し、定義する必要もあります。IT要件のレビューでは、企業は、テクニカルサポート、保守、セキュリティーとデータの規格、ハードウェアとソフトウェアの仕様、ライセンス料、実装コストを検討する必要があります。

PoC(概念実証)は、プロジェクトチームが、個々のビジネス環境の範囲内で機能するかどうかを確認することで、企業が目標と定めた自動化ソリューションを、より明確に把握することができます。つまり、PoCは、少ない投資かつ最小限のテクノロジープロセスの専門知識で迅速に実施することができるため、企業全体で自動化プログラムを評価してから開始することができるという点で、素晴らしい方法です。

 

CoE(センターオブエクセレンス)の設立

他のテクノロジーと同様、従業員が自動化導入の成功の鍵を握っています。従業員は、組織全体で変化を推進し、実装し受け入れるという役割があります。しかし、ほとんどの企業において、最初の時点ではRPAプロジェクトを実装するための、RPA専門チームがありません。したがって、企業は導入パートナーを探したり、社内CoEチームを設立したりすることになるでしょう。

RPAベンダーを選択する際に考慮すべき重要な点がいくつかあります。パートナーとなるベンダーは、顧客の業界および業務プロセスを理解し、決められたスケジュール内で、セキュリティー基準と人員配置の要件を満たさなくてはなりません。社内のチームを構築することは非常に時間がかかりそうですが、独立性と主体性を高めます。これに基づいて、企業はプロジェクトの進行、プロジェクトの優先順位づけ、トレーニング、プロジェクト開発を監督するだけでなく、RPAソリューションの開発と拡張を自社の人材で行うことができます。

RPAは銀行のバックオフィス業務に革命をもたらしています。デビットカードの不正取引検出処理も例外ではありません。この自動化ソリューションによって、コストを削減しながら、行員の仕事量を軽減し、不正取引検出処理にかかる業務の質を向上させ、ヒューマンエラーよって発生する問題を最小限に抑えることができるようになったのです。不正取引の検出と処理にかかる問題は、今後も続く可能性がありますが、RPAを利用すれば、多かれ少なかれこれらの課題の解決を効率化することができます。

FPTソフトウェアのRPAサービスは、競争力のある価格、ワールドクラスのサポート、標準で組み込まれた業界別パッケージを提供するだけでなく、企業が3つのステージ(開発、実装、運用)を通じて、独自のCoE(センターオブエクセレンス)を編成することに貢献します。FPTは、お客様の自動化プログラムが長期にわたって確実に成功することを目指しています。

 

インプリメンテーション(実装)

実装段階では、RPAチームが選択したツールを使用して、RPAロボットを開発します。ソリューションアーキテクトは、プロセスを自動化するだけでなく、業務全体を合理化する方法について常に考え、各ステップが次のプロセスにおいて、最小限の作業で使用可能になる必要があることを認識していなくてはなりません。RPAロボットは、経験を通じて学習することができないため、例外が発生した場合も、処理ができるように設計する必要があります。そうしないと、問題が発生するたびに動作停止や制御不能になる可能性があります。OCR(光学的文字認識)、チャットボット、音声および人工知能(AI)などの、他の技術を統合して、より包括的なソリューションを開発することも検討できます。

設計と開発が完了すると、ボットはさまざまな状況下でテストされ、修正や改善が必要かどうかを判断されます。エラーがなければ、ユーザーが必要に応じて使用を開始できるように、本番環境に展開されます。ボットを監視し、すべての実装アクティビティがドキュメント化され、追跡され、計画どおりに完了していることを確かめるための制御メカニズムが確立されているかを、この段階で確認する必要があります。

 

保守とサポート

CoEは、RPAで開発されたプロセスの安定性を確保するために、問題が発生した際には、定義されたSLA(サービスレベルアグリーメント) を満たす必要があります。ボットのメンテナンスは、運用チームとITチームの双方で監視することを推奨します。サービスチケットなどによる従来のサポートモデルでは、状況によっては機能しない場合があり、ボットが成熟して安定するまでは、作業現場で直接技術サポートが必要となる場合もあります。さらに、テクノロジーは日々進化し続けているため、企業は自動化のトレンドに関して頻繁に更新し、最新のプロセスやアプリケーションに合わせて、ボットを再プログラムする準備を整えることも極めて重要なことです。

RPAには、企業の運用効率を向上させる大きな可能性を秘めています。RPA の導入を成功させるキーポイントは、詳細な計画と、特に最初の段階における緊密な監視です。

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【Written by ファム・マイ・ガン 2020年3月18日】

 

【Reference】