スマートファクトリー実現に向けて
第4次産業革命の進展に伴い、グローバル競争力の強化に向けては、IoT・ビッグデータ・AI・スマートロボットを活用したものづくりのスマート化(データを活用したものづくり)を実現したスマートファクトリーへの取組みが重要です。
それにはデジタルテクノロジーの活用は、未来の製造業の鍵となります。製造効率を高めるために、従来の工場をデジタル化したスマートファクトリーへと変革する必要があります。
しかし、企業においては、ものづくりのスマート化への対応が必要と認識しつつも、スマート化に向けた戦略立案から実行を進めることができていないことが課題となっています。これは、どのようにスマート化を進めていけばよいか明確になっていないことが要因と考えられます。そのため、経済産業省は『スマートファクトリーロードマップ』でスマート化を図る次の7つの目的をあげ、これらの目的を達成し、スマートファクトリーを実現するロードマップを公開しています。
- 品質の向上
- コストの削減
- ⽣産性の向上
- 製品化・量産化の期間短縮
- ⼈材不⾜・育成への対応
- 新たな付加価値の提供・提供価値の向上
- その他(リスク管理の強化)
これらの目的を実現していく上で、工場においてテクノロジー目指すべきポイントを、生産現場とバックオフィスにおける課題を紹介します。
工場の生産性向上のために乗り越えるべき課題
生産現場の課題
生産現場においては、次のような課題が存在します。
トレーサビリティの非効率性
不適合が生じたときに、どのような問題が生まれているのかを絞り込む必要あります。しかし、製品の製造元や品質情報のトラッキングやトレースに失敗することにより、製品リコールに加えて、余計なコストと無駄な時間がかかります。
データのサイロ化による情報の非効率性
各スマートファクトリーのレイヤー間における複数システムの連携には、非常にコストがかかります。そのため、データはシステム(IoT、生産管理システムなど)間で分離されたままとなり、リアルタイム分析やタイムリーな製品の発送、さらに意思決定を妨げる要因となります。
複数のシステムがお互いに連携できていない
さまざまな機能(ERP、SCADA、AI、IoT)で構成されるシステムは、統合ができず最適化することができないため、生産現場では、システムからデータを取得するために無駄な時間がかかります。それらの原因には、さまざまな知識不足が原因となることももあります。
- MESの知識不足
- 在庫管理知識不足
- IoT知識不足
- PLC設計開発の知識不足
- AIに対する知識不足
バックオフィスの課題
バックオフィスにおいては、次のような課題が存在します。
マニュアル作業の非効率性
書類や文書の手作業による処理は、スタッフの能力に依存しており、大きな作業負荷になっています。人的ミスの起因となります。そして、多くの時間を無駄にしています。
スキル不足
労働コストが経費を圧迫します。特に、日本においては高齢者の人口の増加、従業員の高齢化、工場内のさまざまな分野において、人材不足も伴ったスキル不足という課題に直面していています。
革新的なFPT スマートファクトリー ソリューション
FPTは、ERP(企業資産計画)、デジタルトランスフォーメーション(DX)、製造インテグレーション、労働者のパフォーマンス最適化、機械操作の最適化、機械とデバイスの結合、プロセスの自動に対して、革新的なワンストップソリューションおよびサービスを提供し、お客様のスマートファクトリーの実現を支援します。
akaMES FPT独自開発のMES(製造実行システム)
FPT独自開発のMES(製造実行システム)である akaMESは、さまざまな製造現場に適合するパッケージソリューションです。
プロセス管理を一元化することにより「質の高いトレーサビリティの確保」「リアルタイムな情報共有」「オペレーションの可視化」といった価値をお客様に提供し、製造業のデジタル化を実現します。
特長
- ビッグデータ活用プラットフォームにより生産性向上と迅速な意思決定を実現
- エンドツーエンドの材料トレーサビリティと製品体系のトラッキングにより、品質管理の最適化を実現
- リアルタイムのレポートによるオペレーションの可視化で現場から経営層までシームレスなコラボレーションを実現
- 多様な事業プロセスに対応し、高度にカスタマイズ可能な柔軟性の高いシステム
- 紙ベースのドキュメントをデジタル化しペーパーレス化を実現
- 迅速なシステム実装によるスピーディーな展開
akaMESの主な機能
生産管理
目標管理のために標準材料を管理
品質改善基準を管理
生産性向上のために作業方法を標準化
生産計画
計画プロセスの透明化
生産計画に基づく材料や人員の計画
生産計画の最適
工場ロジスティクス
CRM/ERPから各販売注文に詳細な生産 計画を自動的にスケジュール
製造費用を正確に管理
倉庫管理
オーダー期限の厳守
材料の在庫コストを削減 人的リソースの削減
オンサイトによる緊急対応 過不足の防止
品質管理
製品とプロセスの品質を改善し、産 業廃棄物と製品回収コストを削減
しきい値に達した際のアラート
人と機械の統合
生産機械と作業者間の双方向コミュニ ケーションを提供
人的エラーの排除
akaMES導入のメリット
akaMESは、工場において生産ラインを運用するために必要となる複数の機能を備えたエコシステムです。運用管理 (オペレーター)・作業管理(マネージャー)・トレーサビリティダッシュボード(上位マネージャー)という異なるレイヤーを対象としたビューにより、設計されています。
- 上位マネージャー(CEO/プロダクション マネージャー/QAマネージャー)
ウェブベースの視覚化したデータと詳細なデータ分析による、現場の状況に合わせた長期活動計画レポートを作成 - マネージャー(部門マネージャー/ラインマネージャー/シフトリーダー)
セールスオーダーから生産計画を自動生成し、作業指示をオペレーターに展開。ERPで生産オーダーを処理 - オペレーター
正確なデータ入力、バーコード/QR/ FRIDによる実行中の機器/役割に関連する生産検証
なぜFPTのスマートファクトリーなのか?
デジタルイノベーションパートナーとして、ディスラプティブテクノロジーを代表とする、IoT、AI、ビッグデータ、クラウドコンピューティングなどのテクノロジーに加え、さまざまなサービスを提供することで、工場の発展を促進します。
独自テクノロジーを持つ世界有数のベンダーとのパートナーシップにより、主要なプラットフォームやさまざまなテクノロジーを活用することで、優れたデジタルエクスペリエンスを提供します。
幅広いノウハウとソリューション展開の経験を有するのに加え、専門知識を持つ認定技術者が数多く在籍しています。また、優秀な技術者を育成する環境も自社で携えています。
事例
MESソリューションによる製造効率の最大化
お客様:カールスバーグ社
課題
デンマークのビール醸造会社であるカールスバーグ(Carlsberg)は、MES(製造実行システム)を導入し、製造業務の効果的な実行と生産量の向上を確保し、アジアおよび西ヨーロッパの10の醸造所にシステムの展開を検討していました。
ソリューション
- ERP統合の要件を確定するために、既存のERP環境を分析
- 自動化とネットワーク設定が完了した後、PTCのThingWorxプラットフォームのコンフィグレーションとデータ移行を実施
- センサーおよびThingWorx loTからのデータをすべて収集するようにサーバーを設定し、SKU(最小管理単位)、ビールブランド、ビールサイズ、測定単位などの入力データで構成されるマスターデータを挿入
導入の効果
- MESソリューションを、アジアおよび西ヨーロッパの醸造所に展開することに成功
- パフォーマンスと品質のデータを、タイムリーかつ費用対効果の高い方法で確認可能に
- すべてのアセンブリプロセスの運用効率を計算し、管理レポートを自動的に作成。リーダーは工場の包括的な状況を把握しリソースを管理することで、より効率的に利益を生み出すことが可能に
デジタルマネジメントシステムによる製品の品質向上
課題
既存の手動システムは生産性が低く、さらに経営に関する貴重なデータを得ることができなかったため、品質管理と出荷製品検査のデジタルシステムを構築する必要がありました。
ソリューション
- アジャイル開発の手法の1つであるスクラム開発を使用し、5ヶ月という短期間で開発
- 現状を分析し、システムモデルと開発ロードマップを作成
- シックス・シグマ手法に基づいて、自動的にレポートとアラートを作成
- システムを5つのモジュールに分割し、それぞれのモジュールに特定の機能を保持
導入の効果
- 品質管理と出荷を改善
- 品質、記録のトラッキングにおける手作業と事務処理を低減することにより、生産性と効率が向上
- 品質レポートのリリース時間が1か月から30分に短縮。監査プロセスを加速し、勤務時間管理を改善
IoTによるファクトリープロセスのイノベーション
課題
手動で時間のかかるデータのソート・移行プロセスをデジタル化するこ とで、実行中の製造作業のパフォーマンスを効率的に監視し、レポートの 作成時間を削減をしたい
ソリューション
- オンプレミスとクラウドの双方にソリューションを展開し、データ分析を実施。さらに、Bluetooth Low Energy(BLE)やその他の接続方法により、IoTゲートウェイに接続
- JavaScriptベースのオープンソースフロントエンドWebフレームワークによって開発され、多くのチャートとKPIを備えたダッシュボードとレポートを自動的に提供
導入の効果
- 操作時に不要な手順を削除することで、工場のパフォーマンスを最適化
- 追跡結果と収集データを基にして、新しいビジネスモデルを確立
- 運用管理者は、即時にデータに対する処理と機能の全体確認が可能
工場のアセスメント
課題
製造現場をペーパーレス化し、トレーサビリティと合理化されたプロセスを可能にする、 革新的な工場へ移行したい
ソリューション
- オペレーターがすべての生産活動(マシンID、操作、原材料ロット、数量など) を記録するためにタブレットを使用
- ダウンストリーム・アップストリームデータのためにMicrosoft Dynamic AXと統合
- 操作実行前に、バーコードやQRコードをスキャンし従業員のIDを確認 材料の袋に対して、物理的なタグを印刷
導入の効果
- 約90%のペーパーレス化を実現
- トレーサビリティによって、サプライチェーンの可視性を高め、リスクを軽減
- 作業伝票のステータスと運用データをリアルタイムで監視