2019年11月13日、FPTソフトウェアは、150人を超える参加者とデジタルビジネスの専門家を集めた技術セミナーをホーチミン市にて開催しました。本イベントでは、バイエル、マサングループ、デロイトコンサルティング、OutSystems、FPTのIT専門家がデジタル変革の機会と課題に関する見識の交換を行いました。

講演においてFPTコーポレーション会長であるチュオン・ザー・ビンは、デジタル変革に関して、「デジタル変革を行うのか行わないのかは、今日企業にとっての死活問題である。」と語りました。

デジタル変革の可能性に関して、「今年の市場を見ると、デジタル変革に1兆米ドル以上が費やされています。今後3年間で、市場規模は倍になるでしょう。また今後5年間で、世界のGDPの4分の1は、デジタル化から生じることになるでしょう。」と述べるとともに、このデジタル変革に関して、「できる限り早く始めなくてはなりません」と呼びかけ、「ある者は他の者より速くすすめているかもしれません。しかし10人の指導者のうち9人すべてが、デジタル変革をスタートする準備がすでにできています。」とデジタル変革を行うスピードの重要性に関して言及しました。

 

 

このデジタル変革に関して、ビンは、日本の「改善」の原理に触発された「デジタル改善™」と呼ばれるデジタル変革成功のためのFPT独自のメソトロジーをセミナー参加者と共有しました。

デジタル改善™」は、デジタル変革プロジェクトにおいて失敗を引き起こしやすい主な3つの要素である、DXの対象の範囲が大きくなりやすく問題が生じやすい「テーマが大きすぎる」、部門毎に連携を図らない、もしくは少ない連携のもとに独自でDXを進める傾向が多く、全体のプロセスを統合するために新たなオーバーヘッドが発生しやすい「断片化する」、リーダーの目指す方向は、従業員が仕事の質を向上させるために求めていることから、かけ離れていることが多い「トップマネジメントと従業員間で意見の相違が起きやすい」ことを解決することを目的に提唱されました。

「デジタル改善™」の方法は「ちょっと大きく考える」「小さくスマートに始める」「スピーディに拡大する」という3つの要素で構成されます。下記がそれぞれの要素におけるポイントです。

  • 「ちょっと大きく考える」: 3年計画を立て、その計画の実現を目指します。また、この目標はビジネスや市場の状況とうまく整合するように、毎年見直しと修正をする必要があります。
  • 「小さくスマートに始める」:クロスファンクショナルチームでワークショップを行い、すべてのチームに利益をもたらす可能性のあるイニシアチブのリストを特定します。そして、展開した際の影響度や受容性、さらに技術的な実現可能性などの観点より、これらのイニシアチブを評価します。この段階で特定される全てのイニシアチブは「大きく考える」のプロセスで描かれた全体の戦略に従う必要があります。これらはトップマネジメントと従業員の意見の連携を支援することになります。また、イニシアチブは6か月未満、ROIは6か月以内に達成する必要があります。
  • 「スピーディに拡大する」:複数のフレームワークやツール、さらにプラットフォームを活用する必要があります。FPTでは「akaminds(アカマインズ)」というAIの統合分析プラットフォームを独自開発し、活用することができる体制を整えております。お客様のレガシーデータベースやIoTデバイスなどのさまざまなデータソースからも接続することが可能です。データ分析を行うデータサイエンティストチームも控えています。また、製造プロセスの準リアルタイム監視やトレーサビリティには「akaMES(アカメス)」というプラットフォームも準備しています。

FPTの「デジタル改善™」は、デュポン、ウォルマート、コカコーラなどのグローバル企業および世界中の企業にサービスを提供してきた30年のグローバルな経験に基づいてのノウハウであり、FPTでは「デジタル改善™」を掲げ、高い技術力とあわせて、世界中の多くの企業におけるデジタル変革に貢献しています。

 

また、ビンは、デジタル変革におけるデータの重要性に関しても言及し、「まずデータを活用してビジネス変革をはじめます。データは将来的には石油のようなものとなります。それはつまるところお金なのです。すべてのビジネスは、膨大な量のデータを持っていると思います。 しかし、どのようにしてそのデータから価値を引き出すことができるのでしょうか。どのようにデータを統合し、調和させ、融合し処理すればいいのでしょうか。」とビンは問いかけます。

具体的には、「空の上では4000万便のフライトがあります。この大量のデータを活用することで、リスク管理、燃料消費、スピード、品質といったすべてを改善することができます。」と述べ、FPTは多くの航空会社のデータをオープンなデジタルプラットフォームに移行することができたと付け加えました。「航空会社には課題となる点が多くあります。 私たちは約30の大きな課題を特定し、約半分を解決しました。今後もデータの活用を行い課題を解決していきます。」とデータによる課題解決への期待を語りました。

デジタル変革の重要なポイントとして、「私たちは人を中心に置かなくてはなりません。従業員に信頼してもらい、そして、どのようにデジタル変革へ参加できるのかを知らせなくてはなりません。そして従業員自身にやらせるのです。従業員は創造者であり、ビジネスプロセスを変革する人なのです。新世代の従業員を育成することで、従来のITエンジニアを解放できるのです。」とITの能力と人が協力しあわなければならないことを強く協調しました。

また、最後に「FPTが、グローバルなデジタル変革ソリューションおよびサービス・プロバイダーになることを目指しています。これは私たちの夢です。」と述べ、講演を締めくくりました。