2019年4月25日から27日にかけ、FPT主催によりベトナムのハロン湾で3日間にわたり開催された「グローバルDXサミット」において、FPTは多数の企業のリーダーやクリエイター達を集め、デジタルトランスフォーメーションにおける戦略的な考え方をまとめ、デジタルトランスフォーメーションのプロセスをどのように進めるべきかを議論しました。この特別なイベントでデジタル変革の達人から学んだことをご紹介します。

 

デジタル改善

FPT会長 チュオン・ザー・ビン(Truong Gia Binh)によれば、「デジタル変革」は、「デジタル改善」と見なすべきとしています。カイゼンとは2文字の漢字で表した日本の経営理念です。カイ(改)とは「改良する」、ゼン(善)は「良い」を意味します。これは後に「継続的改善」として知られるようになり、時間をかけて、大規模な改良をもたらす、段階的な変更を加えるということを意味します。そこでは、企業は絶えず業務を最適化し、革新的なソリューションによって非効率性を排除します。そのような観点からすれば、デジタルトランスフォーメーションは、ビッグバンでではなく、むしろ長期的な成功にむけての「改善」であると捉えることができます。

 

 

「トランスフォーメーション(変革)」は「人」

FPTコーポレーションのデジタル変革事業最高顧問であるフォン・チャム(Phuong Tram)は、「デジタル」はビジネスのやり方を一新し、顧客に価値を提供するためのテクノロジーの利用を伴いますが、「トランスフォーメーション(変革)」は結局のところ「人」なのだと考えます。フォン・チャムは、デジタル変革は、組織の人々が一体となって、変化を求める環境を作りだすことから始まり、「変化を求めるのであれば、同時進行で人々と関係性を深めていく必要があります。人々をやる気にさせ、彼らの気持ちを念頭におきながら始めなくてはいけないのです」と述べています。デュポン社のCIOであったフォン・チャムは、自らの経験を踏まえて、デジタルトランスフォーメーションに対し、人々の積極的な関与がいかに重要か常に強調し、「もし人々があなたについてこなければ、ミッションも戦略もないし、世界の技術は変わることはないでしょう」と述べています。

 

 

デジタル変革の中心はデータ

Grab社アナリティックス部門の責任者であるNikhil Dwarakanath氏は、デジタル変革の鍵は、データ駆動型のインサイトであると主張します。基調講演の中で同氏は、ライドヘイリング(自動車による送迎サービス)のスタートアップが、データの力を活用して東南アジアにおけるスーパーアプリを開発した方法について、共有しました。「何百万ものGPS位置データを分析することによって、Grab社は顧客の旅のパターンや好みといった複数の測定基準をリアルタイムで追跡することができ、製品を常に改良し、顧客体験を向上させることができるのです。また、データ駆動型のデジタル変革は非常に複雑で時間のかかる作業ですが、常に顧客を念頭においていなければいけない。」

 

 

敏捷性

デジタル変革は絶えず進化しており、必然的に試行錯誤の作業になります。パランティアテクノロジー社のアジア太平洋地域担当者であるバレット・ブラウン氏は、「1年またはそれ以上の歳月をかけて、データウェアハウスを整理し、データをまとめ満足する状態になっても、2ヶ月も経つと全てが変更され、何もかもが機能しなくなることがあります」と、厳しい現実を述べています。同氏は、デジタル変革を実行する者には、ダイナミックシステムを構築できる「敏捷性」が大事であり、また「オントロジーレイヤーはオントロジーそのものでなければならない」ということを強調できる者が重要としています。また、「柔軟であり、一方向にモデル化することで、新しい世界が出来たことを学び、それによってまた変更が必要になることに対し“問題ない。上出来だ ”と捉えられること」が重要であると主張しました。

 

 

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